カイゼン・ジャーニーを読みました

もくもく会の懇親会で「カイゼン・ジャーニー」を勧められ、今年10月の終わりころに購入していました。
二か月たって年末になりやっと読めましたので、感想を書きます。

「ソフトウェア開発の現場」をより良い方向へ変えていくための方法を届けるための本だと「はじめに」で書かれています。
「より良い方向」とは誰の何のための「より良い」なのでしょうか?
私はソフトウェア開発の現場にいる人々とその利害関係者が、尊厳を脅かされることなく健やかな日々の生活を送ることだと解釈しました。

主人公の江島は勉強会で開発現場を変えた話を紹介する石神の話に惹かれます。
その後、江島の会社では新人がフォローを受けられないまま遅くまで残され退職に追い込まれる事件が起きます。
退職に追い込まれた新人を見て、そんな不幸な開発現場を変える事例を聞いていた江島は現場を変えるための使命感を持ったのだと思います。
その江島の使命感の根底にあるのは人を助けたいという利他的な動機です。

そんなエピソードを踏まえてから第一部では一人、第二部ではチーム、第三部ではクライアントやユーザーも交え、
「ふりかえり」などのプラクティスを紹介しながら改善を進めていきます。
ラクティスの紹介では必ずその手前で江島らが失敗をします。
まずは失敗を見せプラクティスによって改善するストーリーにすることで理解しやすくなっています。

失敗の中には個人の責任だとして切り捨てられてもおかしくないようなものもあります(メンバーが出勤しないなど)。
そのような場面でもチームの問題としてスクラムの手法で全員での解決を目指す姿勢は、
この本から学ぶべきものとして大きいものなのではないかと感じました。

この本で紹介されているスクラム・カンバンのプラクティスは数が多くそれぞれを細かく読み取れてはいませんが、
今後、私が開発現場で困難に遭遇した際には安易に人のせいにせず、
現場の意思疎通といった範囲の広い視野でものごとを考えられるようになりたいです。